相続した土地、登記簿の面積を信じて大丈夫?
父から相続した実家を売却することにしました。
登記簿に記載された土地の面積は100㎡。不動産会社にも相談し、おおよその売却価格について説明を受けていました。
ところが、売却に向けて隣地との境界を確認し、測量を行ったところ、思いがけない結果が出ました。
「実際の面積は95㎡ですね」
登記簿よりも5㎡狭いというのです。
土地の価格が高い都市部では、決して小さな違いではありません。
そもそも、なぜ登記簿の面積と実際の面積が違うのでしょうか。
実は、登記簿に記載された面積が、必ずしも実際の面積と一致するとは限りません。
今回は、相続した土地の面積に潜む落とし穴と、売却や活用を考える前に確認しておきたいポイントを紹介します。

登記簿の面積は、必ずしも正確ではない
土地の登記簿(登記事項証明書)には、「地積」という項目があります。これは、その土地の面積を表すものです。
しかし、登記簿に記載された地積と、実際に測量した面積が一致するとは限りません。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。
理由のひとつは、昔の測量技術や測量方法にあります。
過去に測量された土地の中には、現在ほど精密な測量が行われていなかったものがあります。測量技術や機器が進歩したことで、改めて測ると面積に違いが生じることがあるのです。
一度登記された土地の面積は、所有者が変わったからといって、自動的に測り直されるわけではありません。親から子へ、さらに孫へと相続されても、昔の測量による面積がそのまま登記簿に残っていることがあるのです。
つまり、何十年も前の面積が、現在の登記簿に記載されていることもあるのです。
もちろん、すべての土地で面積が異なるわけではありません。比較的新しい測量結果に基づいて登記されている土地もあります。
また、実測面積は登記簿より小さいとは限らず、大きくなる場合もあります。
大切なのは、登記簿に記載された面積が、いつ、どのような測量に基づいているのかを確認することです。
たった5㎡の違いが、売却価格に影響する

登記簿では100㎡だった土地が、実際には95㎡しかなかった。
この5㎡の違いは、土地の売却にどのような影響を与えるのでしょうか。
例えば、土地の価格を1㎡あたり80万円と仮定してみましょう。
100㎡なら8,000万円ですが、95㎡なら7,600万円。単純に計算すると、400万円もの差になります。
土地の価格が高い都市部では、わずかな面積の違いが、大きな金額につながることがあるのです。
ただし、実際の売却価格が必ず400万円下がるわけではありません。
土地の価格は、面積だけでなく、立地や形状、道路との接し方、建築できる建物の規模など、さまざまな条件によって決まります。
また、不動産の売買では、登記簿上の面積をもとに価格を決める「公簿売買」と、実際に測量した面積をもとに価格を決める「実測売買」があります。
公簿売買では、実測面積との違いがあっても、原則としてその差を理由に売買代金を精算しない取り決めが一般的です。一方、実測売買では、測量結果に応じて代金を精算する方法がとられることがあります。
つまり、面積の違いが売却価格にどう影響するかは、売買契約の内容によっても変わるのです。
相続した土地を売却する際には、登記簿の面積だけで価格を判断せず、実際の面積や売買条件を確認することが大切です。
本当に怖いのは、面積よりも境界
登記簿と実際の面積が違う。その原因を調べていくと、もうひとつ重要な問題に行き当たることがあります。
それが、土地の「境界」です。
土地には、隣の土地との境目があります。しかし、古くから所有されている土地の中には、その境界がはっきりしていないものもあります。
例えば、隣地との境界を示す杭が見当たらない。昔からある塀が、本当に境界線上に建っているのかわからない。あるいは、隣の所有者と境界について認識が違っている。
こうした問題は、普段その土地に住んでいるだけでは、なかなか表面化しません。
ところが、相続した土地を売却しようとしたときに、初めて問題になることがあります。
買主にとって、どこからどこまでが購入する土地なのかは、重要な問題です。
境界が不明確なままでは、売却に向けた交渉が難航したり、測量や隣地所有者との確認に時間がかかったりすることがあります。
場合によっては、隣地所有者との間で境界をめぐるトラブルに発展することもあります。
また、境界の問題は売却だけに限りません。建て替えや土地の分割、将来の有効活用を考える際にも影響することがあります。
ここで知っておきたいのは、土地を測量することと、境界を明確にすることは、必ずしも同じではないという点です。
測量によって土地の形状や面積を把握することはできます。しかし、隣地との境界がどこにあるのかについては、関係資料の調査や隣地所有者との確認などが必要になる場合があります。
つまり、単に面積を測れば、すべての問題が解決するわけではないのです。
相続した土地について本当に確認しておきたいのは、「何㎡あるのか」だけでなく、「どこからどこまでがその土地なのか」ということなのです。
相続した土地、まず何を確認する?
では、相続した土地の面積や境界について、何を確認すればよいのでしょうか。
まずは、手元にある資料や法務局で取得できる資料を調べることから始めましょう。
1. 登記事項証明書(登記簿謄本)
土地の所在地や地番、面積(地積)、所有者などが記載されています。
まずは、登記簿上の面積が何㎡になっているのかを確認します。ただし、これだけでは実際の面積や境界の状況まではわかりません。
2. 地積測量図
土地の形状や面積、境界点などが記載された図面です。法務局に備え付けられている場合は、取得することができます。
いつ作成された図面なのか、どのような測量が行われたのかも確認したいところです。
ただし、古い土地では地積測量図が存在しないこともあります。また、図面があっても、それだけで現在の境界が明確になっているとは限りません。
3. 境界確認書など
隣地所有者との間で境界を確認した際に作成された書類です。
過去に測量や境界確認が行われていれば、こうした書類が自宅に保管されている場合があります。
相続した実家の書類を整理する際には、土地の売買契約書や測量図などと一緒に探してみましょう。
これらの資料を確認しても、面積や境界について疑問が残る場合は、土地家屋調査士などの専門家に相談することが考えられます。
ただし、相続した土地だからといって、すぐに測量を依頼する必要があるわけではありません。

測量には、土地の現状を把握するための「現況測量」と、過去の資料を調査し、隣地所有者との境界確認などを行う「境界確定測量」があります。
一般的な住宅地の場合、現況測量は10万〜20万円程度、境界確定測量は数十万円程度が費用の目安です。
ただし、土地の形状や隣地の数、道路との境界確認の必要性などによって費用は大きく変わり、100万円以上かかる場合もあります。
土地を売却するのか、保有するのか、将来どのように活用するのか。
その方針によって、必要な調査の範囲やタイミングも変わります。
大切なのは、まず手元の資料から土地の現状を把握し、何がわかっていて、何がわかっていないのかを整理することです。

まとめ 土地を売る前に、土地の実態を知る
相続した土地の登記簿に「100㎡」と書かれていても、実際に測ってみると、その面積が違っていることがあります。
そして、面積の違いだけでなく、隣地との境界がはっきりしていないという問題が隠れていることもあります。
こうした問題は、土地を売却しようとしたときに初めて明らかになるケースも少なくありません。
だからといって、相続した土地をすべて測量し直す必要があるわけではありません。
まずは登記簿や測量図などの資料を確認し、その土地について何がわかっていて、何がわかっていないのかを整理することが大切です。
不動産相続では、どうしても「売るか、残すか」「いくらで売れるか」という判断が先になりがちです。
しかし、その判断の前提となる土地の実態がわかっていなければ、適切な選択はできません。
相続した不動産をどうするか。その答えを急ぐ前に、まずは土地の実態を知ること。
それが、後悔しない不動産相続への第一歩になるのではないでしょうか。
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