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空き家は突然生まれない 相続前に抱えがちな3つの思い込み

相続で空き家が生まれる原因は、相続が始まってから突然発生するものではありません。

「まだ決めなくていい」「思い出があって動かせない」「相続すれば何とかなる」

こうした相続前の「思い込み」が、結果として実家を空き家にしてしまうケースを数多く見てきました。
空き家は突然生まれるものではなく、相続前に家族がどんな前提や気持ちを抱えているかで、その行方はほぼ決まります。

今回は、空き家を生みやすい相続前に抱えがちな3つの思い込みを整理し、空き家を生まないために今できることを考えてみます。


空き家は「相続後の問題」だと思われがち

「空き家」という言葉から、多くの人が思い浮かべるのは、相続の「あと」に出てくる問題ということではないでしょうか。

実際、相続手続きが一段落してから、「さて、実家をどうするか」と考え始める方は少なくありません。
しかし、相続や空き家の相談に関わっていると、少し違った現実が見えてきます。

空き家になるかどうかは、相続の場面で突然決まるのではなく、もっと前から静かに方向づけられているのです。それを左右しているのは、専門的な知識や大きな判断ではありません。多くの場合、家族が無意識のうちに抱えている「前提」や「気持ち」が、結果を決めています。

空き家の多くは「相続」がきっかけで生まれる

空き家の取得経緯として最も多いのは「相続」です。
最近の国土交通省の調査では、空き家の取得経緯の58%が「相続」でした。
   →出所:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」(2025年)

親が亡くなった、あるいは施設に入ったあと、実家に誰も住まなくなる…。
この流れは、人口減少や高齢化が進むなかで、今後さらに増えていくと考えられています。

ただし、ここで押さえておきたいのは、相続=必ず空き家になるというわけではない、という点です。
同じように相続を迎えても、

・比較的スムーズに売却や活用に進める家

・何年も手つかずのまま残ってしまう家

に分かれていきます。

その違いを生んでいるのが、次に挙げる3つの「思い込み」です。

思い込み①「まだ決めなくていい」

空き家を生みやすい最初の思い込みは、「今はまだ決めなくていい」という気持ちです。

親が元気なうちは、実家の将来について話すのは気が引けるものです。

「縁起でもない」

「まだ早い」

そんな空気が、家族の中に自然と生まれます。

この思い込みは、決して無責任さから生まれるものではありません。むしろ、親を思う気持ちや家族への配慮から来ることがほとんどです。

ただ、その結果として、

・誰も方向性を決めない

・選択肢を整理しない

・責任の所在があいまいなまま

相続を迎えてしまうことがあります。

そうなると、相続が始まってから

「売るのか、残すのか」

「誰が管理するのか」

をゼロから考えることになり、想像以上に負担が大きくなります。

「決めなかったこと」自体が、結果として大きな課題を残してしまうのです。

思い込み②「思い出の家だから」

2つ目の思い込みは、気持ちの問題です。

実家は、単なる不動産ではありません。家族の思い出が詰まった場所であり、「売る」「処分する」といった言葉に抵抗を感じるのは、とても自然なことです。

実際、空き家がそのままになっている理由を聞くと、

「気持ちの整理がつかない」

「親が大切にしていた家だから」

という声をよく聞きます。この気持ちは、決して否定されるものではありません。

ただ、感情だけで判断が止まってしまうと、時間とともに別の問題が静かに積み重なっていきます。
建物の老朽化、管理の負担、近隣からの心配や苦情…。

気づいたときには、「どうにも動かせない状態」になってしまうことも少なくありません。

思い出を大切にすることと、現実的な判断をすることは、対立するものではありません。両立させるためには、いったん感情と切り離して、選択肢を整理する視点が必要になります。

思い込み③「相続すれば何とかなるはず」

3つ目の思い込みは、「相続すれば、何とか解決するだろう」という感覚です。

相続という言葉には、「手続きを終えれば一区切り」というイメージがあります。しかし、不動産の相続は、むしろそこからがスタートです。

不動産は、

・分けにくい

・現金化しづらい

・維持や管理が必要

という特徴を持っています。

相続前に、「売る・貸す・残す・管理する・解体する・手放す」といった選択肢を知らないまま相続すると、相続後に「決められない状態」になりがちです。

結果として、「とりあえずそのままにしておく」という判断になり、空き家が生まれてしまうのです。

空き家を生まないために、相続前にできること

ここまで見てきた3つの思い込みは、特別な家庭だけの話ではありません。多くの家族が、同じような前提や気持ちを抱えたまま相続を迎えています。

だからこそ大切なのは、相続前に完璧な答えを出すことではなく、最低限の整理をしておくことです。

たとえば、次のような点を一度言葉にしてみるだけでも違います。

・実家を、誰がどの程度管理できそうか

・住まなくなった場合、どんな選択肢があり得るのか

・築年数や立地など、客観的な条件はどうなっているのか

これらは、すぐに結論を出すためのものではありません。

ただ、家族の中で共有しておくだけで、相続後の判断は驚くほど楽になります。

相続前にできるのは、方向性を決め切ることではなく、選択肢が残る状態をつくっておくこと。それだけで、空き家になる可能性は大きく下げることができます。


まとめ

空き家は、相続後に突然生まれる問題ではありません。

相続前に抱えていた思い込みや前提が、時間をかけて形になった結果です。

・まだ決めなくていい

・思い出があるから動けない

・相続すれば何とかなる

これらは、どれも自然な気持ちです。

ただ、気づかないままにしておくと、家族にとって大きな負担になることがあります。

今年の始まりに、「実家の将来をどう考えるか」を少しだけ話題にしてみる。それが、空き家を生まない相続への、いちばん現実的な第一歩です。


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