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山林の相続で困ったら 5つのチェックポイント

「山林を相続することになったけど…、遠方で使い道もないし、正直困っている…」
そんなお悩みはありませんか。

山林は、見た目には「財産」に見えても、実際には管理や処分が難しく、所有しているだけで負担になる「負動産」となることも少なくありません。
とはいえ、放置すると税金や防災上のリスクも出てきます。

この記事では、山林を相続する予定がある方や、すでに相続したけどどう扱えばよいか分からない方向けに、考えておきたい5つのチェックポイントについて解説します。


チェック1:所有者の登記

まず最初に確認すべきは「登記」です。

相続して登記情報を見てみたら、所有者が何代も前の祖先のままになっていたというケースも少なくありません。
また、実は共有者がいたというケースもあります。

まずは所有者を確認して、適正に相続することが大切です。

さらに、2024年から相続登記が義務化されました。
相続から3年以内に相続をしたという登記をしないと、最大10万円の過料という行政罰が科される可能性があります。
2024年以前の相続についても、2027年3月末までに相続登記をすることが義務付けられているので、注意しましょう。

相続登記では、相続人全員の合意や必要書類の準備が必要なため、早めの対応を心がけましょう。
登記を済ませていないと、その後の売却や贈与などの処分もできません。

加えて、山林を相続した場合には、市町村長への届出も一部義務付けられています。
対象は都道府県の地域森林計画の対象となっている民有林です。

チェック2:場所と活用の可能性

山林の価値や使い勝手は、場所や状態で大きく変わります。

これまでまったく行ったことのない山林を相続することもあるかもしれませんが、実際にどのような場所で、どのような状態なのかは確認しておくことが大切です。

場所を確認したら、活用できる可能性があるかどうか、以下のポイントから検討してみてください。

アクセスのしやすさ

 →車で行けるか、道路に接しているか
 →道路は公道か私道か 私道の場合は建物の建築や土地の売却で制約されることもあります。

地形と傾斜の程度

 →傾斜がきつい土地は造成費用がかさみます。
 →平坦な土地や傾斜が緩やかな土地は利用しやすく、評価も高くなりやすいといえます。

都市計画区域かどうか

 →市街化区域であれば、活用の可能性が高まります。
 →市街化調整区域に指定されていると、建築が制限されます。

電気や水道などのインフラ

 →ライフラインが通っているかどうかも、土地の転用利用に大きく影響します。
 →通っていない場合は、引き込み費用の負担が大きくなる可能性があります。

境界がはっきりしているか

 →境界が不明だと、売却や転用の障害になることがあります。

ご自身での現地確認が難しい場合は、不動産業者などの専門家に依頼することも一案です。

チェック3:土地の評価額と税金

山林にも毎年、固定資産税が課税されます。
納税額は市区町村が定める固定資産税評価額をもとに計算されます。
山林の固定資産税は宅地に比べるとかなり安く、広さにもよりますが年間数千円〜数万円程度ですむようです。

また、水源地の保護や土砂災害防止などのため保安林に指定された山林は固定資産税が免除されます。

一方、相続税の評価額については、国税庁の「財産評価基準」に基づき、地目や立地、利用状況に応じて次のように評価されます。

市街地山林

 宅地としての評価額から造成費などを控除して算出

純山林と中間山林

 国税庁が定める倍率を固定資産税評価額に乗じて算出

このように、相続税の評価額については、市街地の山林と一般的な山林では算出方法がことなるので注意が必要です。

また、保安林については、一定の控除があります。

さらに山林には納税猶予の特例があります。山林の相続人が林業を引き継いだ場合が対象となり、相続税の一部の納税を猶予されます。
そしてその相続人が死亡した際には納税が免除されるというものです。
   →国税庁「山林を相続した場合の納税猶予の特例」

チェック4:管理や手間

「特に使う予定もないし、放っておいてもいいのでは?」と思うこともあるかもしれませんが、山林は放置するとリスクが高まります。

・倒木や土砂崩れなどで損害を与えた場合、賠償責任を負う可能性
・不法投棄や不法侵入、山火事など
・適正に管理していないと、売却が難しくなる可能性

少なくとも、年数回の見回りや草刈りなどを行うことで、このようなリスクを減らすことができそうです。
ご自身での管理が難しい場合は、管理代行サービスを検討してもよいかもしれません。

こうした管理のコストや手間がどの程度かかるかを把握しておくことも大切です。

チェック5:どうするかの選択肢

「使わないから手放したい」と考える方も多いと思いますが、山林は売却が難しい物件のひとつです。
売却しようとしても、すぐに買い手が見つかることは少ないようです。

なかなか売却できない際には、次のような選択肢を検討することもできます。

・自治体やNPOなどへの寄付
 →寄付を受け入れてもらえることもあるので、相談してみるとよいかもしれません。

「国庫帰属制度」の利用
 →国に引き取ってもらう制度を利用できるかもしれません。ただし条件が厳しいので注意が必要です。
  詳しくはこちらの記事『意外と使いづらい 相続土地の「国庫帰属制度」』

一方、山林の状況次第では有効活用ができるかもしれません。

・キャンプ場や太陽光発電施設として利用
 →ご自身で運営するほか、業者に土地を貸して運営は業者に任せる方法もあります。

・キノコや山菜の栽培
 →収益性は高くないかもしれませんが、生活を豊かにすることができるかもしれません。

「使えない」と思っていた山林が、意外な形で活用できる可能性があります。
選択肢を広げるためにも、専門家に相談してみることもよいかもしれません。


まとめ

山林の相続は、「何もせずに放っておく」ことが、もっともリスクが大きいといえます。
まずは5つのチェックポイントをもとに、ご自身の状況を整理してみましょう。

必要に応じて、不動産業者や林業関係者、税理士など専門家の力を借りながら、よりよい判断をしていきましょう。

相続は「引き継ぐこと」だけでなく、「選択すること」でもあります。

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